ちょうさんワークショップ
10月23日匝瑳市内山さん宅
今回のワークショップは、3日間にわたるおうち調えとアルカディアのフォレストガーデン化計画
ちょうさんのおうち調えは、誰でもできるような素朴な造作を使って行います。
参加したみなさんが、各々のおうちにそういう学びを持ち帰り、少しでもご自身のお家で行っていけば、みなさんのお住まいの地域の環境改善に、ひいては地球環境再生につながっていると私たちは考えています。この記事を書いている今福が個人的に思ってることですが、「一人のスーパーマンがいるより、何億人もの穴を掘る凡人がいるほうが地球は喜ぶ。」のではないか。
特に今回の内山さんのおうち調えには特別な意味がありました。
私が四の五の説明するより、以下、内山さんから届いたメールをご紹介した方が伝わりやすいと思いますので、一部抜粋して載せます。
僕、娘が2歳になり、子育てでなかなか時間がないのに、家の修復やいろいろとやることが多くて忙しい毎日を送っているので、荒れ放題の竹林が毎日目に入るのに、今はグッとこらえて見ないようにしていました。
そこへ、わが家の逆のお隣さんが超働き者のとてもいい人で、集落のあちらこちらの手入れもしている70歳の方なんですが、荒れきった竹林を見かねて、「この竹林に除草剤をまく!」と言い出しました。
とてもいい人なんですが、田舎の人にとって除草剤は悪いものでもなく、普通にみんな使っているので、使うことに抵抗がありません。
僕は自分、家族、集落の人、そして地球のためにも除草剤は使いたくありません。
忙しくて、やることを減らしたいのに、働き者のお隣さんに「僕が(仲間たちと!)やるので除草剤はまかないでください」と言っちゃいました…
言ったものの、調ったと言えるまでに途方もない時間がかかりそうです(汗)
ちょうさんや皆さんのお力を貸していただけたら嬉しいです。
内山さんから届いたこのメールで心を動かされて参加された方が何人もいらっしゃいました。
ということで、とにかく竹林の調えをし除草剤を阻止すべく、平日にもかかわらず、1人の調え案内人と9人の凡人たちが立ち上がりました。
前日までの予報では大雨の可能性が高く、もし雨であまりできなかったら、二日目の今福亭ワークショップを半日に減らして内山さんちの調えに振替しようと考えていました。
しかし、おかげさまでどんよりとしてたまに小雨がぱらつきましたが、無事一日を調えに費やすことができました。
まず、道沿いのご近所さんが以前に竹を切って雑然と積み上げてある場所を整備するところから始まりました。
積み上げられた竹を整然と並べるのがまずは第1目標です。しかし、ちょうさんは「整備する」という言葉を使いたくない人です。「ととのえる」というのも「整える」ではなく「調える」という漢字を使っています。人間が考える心地よさと地球にとっての心地よさは違います。「整える」というのは人間にとっての心地よさ、「調える」というのは地球にとっての心地よさ。違う言い方をすれば、手っ取り早くできるのが「整える」、時間をかけてゆっくり変えていくのが「調える」。
しかし、この時はあえて「整備する」という言葉をつかいました。なぜかというと、手っ取り早く人間にとって見た目を良くすることでご近所さんの納得を得て、除草剤をまかなくてもいいと思わせることが優先だったからです。
それでもちょうさんは「整え」の中にも「調え」の精神を忘れません。竹を置く場所の土の上に直に置くことはしません。直に置くと置かれた地面の土が呼吸できなくなり荒れてしまいます。少し浮かせるような置き方をして土が呼吸できるように工夫していくのです。
積み上げる場所の土の上に竹炭をまき、縦に2本離して置き、その上に横にして置いて積み上げていくので、スノコのように竹と地面の土の間に空間ができて風通しがあるようにしてあります。竹炭がまかれているので空間に流れ込んだ空気もきれいになって、土が湿って腐敗するのを防いでくれます。
放置された竹は枝が突き出ていて危ないので、ノコギリや剪定ばさみで切り落として幹と分別します。初参加の方には、まずこの作業をやってもらい、道具に慣れていってもらいます。案外、この作業楽しいので、みんなここからはまり始めます。
余談ですが、今回は初参加なのにガシガシ竹を切り落としていく勇敢な女性がいて、あとから聞いてみたら「竹切りってこんなに楽しいのか」ってうれしそうにおっしゃっていました。
次に、積み上がってきた竹が転げ落ちないように杭を打ちます。これも置いてある竹があまり長くなったり高くなったりすると風通しが悪くなるので高さや長さを抑えてデザインして杭の打ち込み具合を調整します。ご近所さんの見栄え向けに、いくつか打ったその杭も高さを均等に揃えて、なるべくキレイな竹を前面の見えるところに揃えて並べました。これなら、ご近所さんの印象も良くなって除草剤を撒かなくてもいいと思っていただけることでしょう。
そういう置き場を、手分けして数カ所作ります。
僕が担当した置き場には、何の木なのか定かではありませんが大きな木があり、その道路沿いの大木の周りに、さらに長い竹がもたれかかって大木への光をふさいでしまっていました。その大木は光を求めて道路に倒れ込むように伸びてしまっていて、いずれその重みで道路に倒れてしまうのではないかという状態になっていました。
置き場のスペースを作るために大木の周りの竹を間引いて、散乱する竹をいったん脇にどかし、大木にからまった蔦系の植物を剪定していきました。竹を運ぶ人、それを受け取って脇に寄せて置く人、置かれた竹の枝を払う人、大木の周りの竹や蔦を間引く人、4〜5人がいつの間にか連携して息の合った小チームが出来上がりました。誰が指示を出したわけでもないのに、いつの間にか自分の役割を各々が見つけてバランスのいい共同体が出来上がっていく、、、誰が強く主張することもなく、誰が虐げられてるわけでもなく、みんなが楽しみながらそして誇りを持ちながら、時を前に進めている。こういうのが、共同体の理想の形なのではないでしょうか。
話がそれました。
大木の周りに光や風が入り、呼吸できるようなスペースが出来上がりました。しばらく光合成ができなかったことで、根っこが弱ってることが予想されます。弱ってる根っこには微生物が必要。微生物が土の養分を根っこに運んでくれます。根っこの近くにこぶしぐらいの穴を掘り、そこに竹炭を入れると、その竹炭に微生物が集まり根っこを強くするのに貢献してくれるので、いくつか竹炭を投入しました。大木がまた元気を取り戻してくれますように。
このようにして、4つほど出来上がった置き場ですが、道路沿いの見えるところ以外は、少し斜めにして置きます。まっすぐ並べるのは見栄え的には良いのですが、まっすぐ風が通ってしまい、風のスピードが速くなりやすくなり、あっという間に風が通り過ぎて、継続的に空気が動く場所ではなくなってしまいます。その場所に風の流れを滞留させるためには、あまりひらけた場所にしないこと、ジグザグに物を置くこと、そうすることで継続的に風の動きを発生させることができるのです。
それらの作業をしている間、常連の参加者のご夫婦の奥様の手が空き、ちょうさんの竹林「調え」のサポートに回りました。その調えの様子は残念ながら見ることはできなかったのですが、調えが終わったあとに見に行くと、風がゆっくり滞留してくれそうな小径が出来上がっていました。
不思議なのはあれだけ鬱蒼としていて、かなり竹を切り落とさないと道ができそうになかった場所に、竹をほとんど切らずに小径が出来上がっていたことです。しかもその道は内山さんのお家のお庭に通じていました。ちょうさんには凡人には見えない道が見えてるんだなぁと改めて驚きました。
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